第31話

「私のこと、す、好きって言ったのは本心ですか?」



彼女は俯きながら聞いてきた。




「本心だよ」




「今もですか?」




俺は立ち止まった。彼女にこちらを向いてほしかった。



立ち止まった俺に気づいた彼女が振り返って俺を見る。




「今も、好きだよ」




そう告げると、彼女は少し頬を赤らめて軽く下唇を噛み締めたと思ったら、急いで前を向いて歩き出してしまった。



そんな反応されると、少し期待してしまう。



まあでも、面と向かってこんなに真剣に好きって言われたら、誰にでもあんな反応になっちゃうものなのかな。



俺は駅までの道のり、特に喋ることもなく少し前を歩く彼女の斜め後ろを歩いた。

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