第13話

翌日、さっさと仕事を切り上げた俺は、昨日と同じくらいの時間に、昨日のビルに来ていた。



はぁ、と深いため息をついた。



…何してんだ俺。



見るだけ、見るだけだから。今日だけ。




彼女がビルから出てきた。



俺は少し安堵した。やっぱりここで働いているみたいだ。



話しかけてみたいけど、なんて声をかけたらいいのかわからない。



遠くから彼女を眺める。



季節は10月。過ごしやすい気温だが、風が吹くと少し肌寒い。



ビル風に身を縮こませる彼女は寒さが苦手なんだろうか。



彼女は駅の方面に向かって歩いていく。



俺は車に戻った。



なんかもう、彼女を見てるだけで胸がいっぱいだ。

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