第9話
その後金子達三人と、モト、それから一部始終を目撃していた絵美が職員室に呼ばれた。金子達の言い分は、「三人で体育館裏の焼却炉にゴミ箱を空けに行ったら、倉庫の中でモトがタバコを吸っているのが見えたので、教師を呼びに行った」というものだった。絵美の見た限りでは、金子達は倉庫の中から出てきた。嘘をついているに違いなかった。しかしモトはそれに反論することもなく、ただ黙っていた。その姿を見て同情したのもあったが、それよりも正義心が絵美を黙らせておかなかった。彼女は勇気をふりしぼって、倉庫から金子達が駆け出していくのを見たことを話した。そして教師の追及に、ついに自分達が火をつけたことを認め、モトの無実は証明された。
ラブレターが期待していた相手からでなかったことを確認し、絵美は少なからず落胆した。下駄箱で手紙を発見したときは、すぐに彼からだと思った。中学一年の頃からずっと想いを寄せている人。最近、自分に興味を持ち始めてくれている、という感触が彼女にあった。だから、たとえばこのことが彼の耳に入って、それがきっかけになって何かが変わるかもしれない。そんな期待から、手紙の差出人に会ってみる事にしたのだった。
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