第3話

本田>

なになに? ちょっと怖いな。エロ本殴打事件とは大違いだな笑。


モト>

憶えてないみたいだね。


本田>

知らん。


モト>

体育倉庫でボヤがあったんだよ。僕が現場で火を消そうとしてたところを体育教師が発見してさ。


本田>

お前なかなかやるねえ。悪いねえ。


モト>

金子達だよ。犯人は。


本田>

分かってるよ。


モト>

憶えてるの?


本田>

いや全く。文脈判断だよ。


モト>

僕はその場にいただけだったんだ。タバコを吸っていたのは金子たちで。やつらはわざとカーテンに火を点けたんだよ。タバコを吸った後で。そしてその場からさっさと逃げ出した。取り残された僕はその火を消そうとしたんだ。そこに体育教師が現れて、僕の仕業だと思い込んで。


本田>

そりゃその状況だったら間違いなくお前が犯人だ。


モト>

まあね。しかもその教師は金子達から「倉庫でたばこ吸ってる奴がいますよ」って聞いて駆けつけたんだよ。まっさきに疑うのは当然だよね。


本田>

ひでえな。お前かわいそうなやつだな笑。


モト>

やっぱり他人事だね。


本田>

まあね。実際他人事だからね。


モト>

君はその場にいたんだよ。


本田>

いやいやいや! それはいくらなんでもねえだろ。その場にいたのに忘れてるってんなら痴呆レベルだぞ。


モト>

だから僕が思い出させてあげるためにこうしてやってきたんだよ。


本田>

つまりあれか? 金子達にいじめられてたことをいまだに根に持って、金子軍関係者に嫌がらせをしてるわけか? ここに来るより病院に行ってほしかった笑。


モト>

それで職員室で事情聴取が始まったんだけど、運のいいことに、金子達が倉庫から出ていくのを見た生徒がいたんだ。牧野絵美って憶えてる?


本田>

おお。また得意のしかとか。牧野って名前は憶えてるよ。よく知らないけど。


モト>

気楽なもんだね。それで、牧野の目撃証言で金子達が自供したんだ。おかげで僕がやったんじゃないってことは証明されたよ。もちろんその場にいたわけだから、お咎めなしとまではいかなかったけど。


本田>

おお。よかったな。おめでとう。


モト>

牧野のこともよく憶えてないんじゃ重症だね。まあ無理もないけど。


本田>

なぜ?


モト>

だって彼女は君の初恋の相手だよ。

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