第4話

「う、上の階の方ですか…?」


「は?」








あたしの質問に対して怪訝な表情を向けてきた男。人を見た目で判断するのは良くないということは重々に承知しているけれど、髪色同様に随分な性格をしているのかもしれない。初対面の人間に対してここまでぶっきらぼうに言葉を落とせるとかある意味すごい尊敬した。あたしなら絶対に出来ない。







こ、これはヤンキーなのかもしれない。容姿も内面も派手だし、安易に関わっちゃいけない人種なんじゃないだろうか。






まあ、でも。





チラリ、一度逸らした視線を再び男に向ける。









あたしの瞳に映る男の容姿は完璧だと思う。










モデルや俳優って言われても誰も疑わないだろう。確かに漫画や小説といった物語のなかにいるヤンキーのほとんどは容姿が整っているように思える。







…………まさか漫画や小説のなかから飛び出してきたとでも言うのかな。






そんなことをボーッと考えていると、夜風があたしの頬を撫で、我に返った。










「いや、だから、上の階の―――」


「お前、誰だ」


「はい?」


「いきなり話しかけてきて、誰だ」








なにこいつ。





やはり失礼すぎる。

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