第2話
そんなふたりが正式に夫婦となるまでに、修司さんは何度もあたしと話をする機会を設けてくれた。お母さんだけではなく、あたしのことまで気にかけてくれて、ほんとに良い人だと思う。
娘であるあたしがちゃんと笑顔で安心して過ごしていけるように、自分が“安心する場所”を害する者とならないように。
そんな風に周りにまで気を配れる、すごく、すっごく優しい人だ。
周囲の誰も反対することなく、無事に結ばれた新婚のふたりはほんとにラブラブで。邪魔されることなく生活したいだろうなあ、と思った。
だから、あたしがひとり暮らしをすることになった。
でも、それを二人に切り出した時はほんとに大変で。いや、もう本当に大変で。
修司さんなんて「僕がいるからだよね!僕、単身赴任するよ!」と涙目で立ち上がるし、お母さんは「ダメに決まってるじゃない」と首を縦には振ってくれなかった。
それでもなんとか説得して、少し離れた高校を受験した。
なにかあったら、どんな小さなことでも連絡するって約束でひとり暮らしを始めたわけだけど、お母さんはもちろん修司さんとも仲良くやれてると思う。
ひとり暮らしの方も最初は失敗ばかりだったけど、今ではもう手慣れたものだ。
そろそろ食器洗おうかなー。
そう思い、立ち上がったのと同時、ベランダでドシンという何かが落ちたような重い音が響いた。
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