5. 霊気と巫術

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 三層の次元

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 夜久爾には三層の次元がある。


 現世うつしよは現実世界。

 常世とこよはいわば霊界。

 狭世はざまよは文字通り、現世と常世の間にある世界。


 巫女たちは念と霊気と儀式にて狭世に干渉あるいは没入し、霊的な力を引き出したり、神々と接触したりする。



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 霊気と瘴気

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 霊気は狭世を介して、各階層を対流している。この均衡が重要であり、地理的な要因や人や生き物の想いにより、滞ることがある。その結果、瘴気が生ずる。


 すなわち、霊気が滞り濁ったものが瘴気である。瘴気は人の心などに感応し瘴気病みを発病させる。また、人や動物に取り憑いて狂わせ、ときに瘴魔を発現させる。瘴気には負の感情や力が堆積している。


 霊気は常世から生じ、狭世の霊路を介して、現世に流れ込む。


 また、霊気の上流は上霊路、下流は下霊路、と呼ばれる。この均衡が崩れることでも、世界に瘴気が溢れる。


 霊路は自然に作られたものもあれば、霊力者が作ったものもあり、各地の神社や祠などには、この霊路を調整する役目もある。



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 狭世への潜行

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 狭世には様々な領域があり、領域によって特定の神がいたり、施設めいたものや、地形がある。


 悪霊や悪神が潜む悪影響を及ぼす領域もあり、場合によっては戻れぬ事態もあるため、注意を要する。



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 霊受たまうけ

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 巫女たちは神繋ノ宮などで瞑想し、神とえにしを結ぶ。この儀式を霊受と呼ぶ。


 儀式の様式として以下の通り。


 ・導者どうしゃ受者うけしゃが対面して座る

 ・受者は瞑想、導者は儀式鈴を鳴らす

 ・受者は狭世に潜行する

 ・首尾よくすれば狭世にて神と接続される



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 巫術

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 霊受を成した巫女は、狭世を介して神の力を顕現させる。その際、神に応じた『浄歌じょうか』が奏上されることが多い。


 同じ神との縁であっても、発現する作用は様々である。


 過度な巫術の行使は霊気の秩序を乱す。また、たいていの術は巫女の寿命を削るか、何らかの代償が伴う。


 例としては以下のような巫術(顕現)がある。


 火を燃え上がらせる。代償として己の体の一部を焼く。


 不可視の刃を放つ。代償として血を失う。


 瘴気の浄化を行う。代償として痛みや苦しみに襲われる。


 己の霊と体を捧げ特定の神の擬態そのものを顕現させる。

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