オカルト様
ー翌日ー
「昨日めっちゃ楽しかったね」
「委員長がまさか演歌好きだったとは」
クラスの話題は昨日の打ち上げのことばかり。
真面目でザッ・委員長だと思ってた谷元くんがマイクを持った瞬間人が変わったように演歌を熱唱。
みんなポカンと口を開けたまま、自分のほっぺをつねる人も何人かいた。
打ち上げといっても大きな行事が終わったわけでなく、2-Bからコンクールで最優秀賞を獲るなんてマンガのような出来事に祝いたいという気持ちから、打ち上げとなった。
「関本さん」
呼ばれて振り返ると、クラスメートでも全然話したことのない安藤さんが真後ろに立っていた。
安藤さんは正直苦手。
この不気味に見開かれたような目。背中まであって目にかかるぐらいの長い黒髪。
下から見上げると、目はより一層怖い。
「えっと、なに?」
一向に喋る気配のない安藤さんに私から用件を聞いた。
「関本さん。貴女…死ぬわよ」
安藤さんはニタリと笑い、その言葉に教室は静かになった。
──ん?聞き間違いかな?
死ぬ………?え、どういうこと?
「おい。ふざけるのも大概にしろよ」
頭が混乱していると、コウが庇うように立ってくれた。
周りはヒューヒューと冷やかす。
私は嬉しい反面恥ずかしくなった。
「安ど…」
コウがキレる寸前、安藤さんは振り返って、どこかに行ってしまった。
「なにあれ。やっぱオカルト様の思考はあたしら人間とは違うみたいね」
オカルト様とは安藤さんのあだ名。
私たちの住むS市だけじゃなく、世界中の呪いといった類いを調べ尽くす。噂では過去に人を呪い殺したとか……。
体にはおかしな傷跡もある。虐待やイジメとも異なるその傷は、簡単に安藤さんを孤立させた。
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