視線

「-み。ヒロミってば!」

「え……マイ?なんで私の家に……?」

「はぁ?あんたなに言ってんの?」


マイこと上元真依。


小学校からずっと友達で、腐れ縁のせいか高校でも離れないでいる。


マイはぺしっと私の額を叩いた。


「目覚めた?」

「うん……」


そうだ。私はいまクラスの打ち上げで、待ち合わせ場所にいるんだ。


「私ずっと座ってたよね?」

「全く動いてなかったよ。石みたいに」


冗談っぽく笑った。


マイはちょっと男勝りなとこがあるけど、こういうとこはお茶目で可愛い。


「そっか。やっぱり夢だったんだ」


「え、なに。寝てたの?ちょっとみんな聞いて!ヒロミったら寝てたみたい!!」


あまりにも大声で言うものだからクラスメイトだけじゃなく、通りすがりの人達にもクスクス笑われる。


「こんなとこでよく寝れたな」


よう、と遅れてやって来たのは北岡晃仁。


コウとの出会いは高校。仲のいい男友達だったんだけど……いまは私の彼氏でもある。


イケメンではないけど、気が合って話しやすく一緒にいて楽しい。


「全員揃ったし行くか」


幹事が点呼をとって、よく行く馴染みのカラオケ店に向かった。












………………










私は多分、気付いていたのかもしれない。







背中に穴が開くような強いいたい、突き刺さるような視線に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る