変わらぬ友情
【見てはいけない部屋】
そしてもう一人。
とある部屋を目指して歩く者がいた。
「くそ~、完全に迷った。みんながいる部屋はどこだ?」
あちこちの部屋からパーティーを楽しむ声が聞こえてくる。
ひょこっと覗けば居るのは大人ばかり。
「ここも違うか……。」
ため息をつき、部屋を探す。
「こっちか?」
隣の部屋を覗くとまた大人だけ。
しかも群を抜いた美男美女が集まっていた。
「あれ?ニック君?」
名を呼ばれ、その人物を見る。
ルアードのおじいちゃんみたいな人だと聞かされていた人だった。
「え……と、シャスタさん……?」
「ええ。ニック君はどうしてここに?」
「その……トイレに行ったら帰り道が……」
へへっと笑う彼に納得するシャスタ。
初めて来た子供なら迷って当然だった。
「はは、みんなのいる部屋に送りますね。」
願ってもない申し出に頷くニックだが──
「シャスタ出番よ!準備して!」
「えっ、もう!?ごめんね、ニック君。少し待ってもらっても良いですか?」
申し訳なさそうなシャスタに首を振る。
「忙しそうなので自分で探します。」
ぺこりと頭を下げ、部屋を出た。
と、廊下の先に子供らしき人物を発見する。
「誰だ……?てゆーか、ついて行けばみんなの所に行けるよな、うん。」
一人納得し、その子供を追いかけた。
「って、ルアードじゃん。あれ?ここも違う気がするぞ……。」
遠目にルアードを確認したが、自分達の居た部屋の通路とは少し違った。
じゃあルアードはどこに向かってる……?
「おい、ルア──」
声をかける直前に部屋へと消えたルアード。
直後、大歓声が上がった。
ルアードが入った部屋からの声に、ビクッと固まるニック。
一体何が起こったのか……。
よく聞けば、ルアードを讃える言葉が聞こえて来る。
一人や二人ではなく、大勢がルアードを讃えていた。
「何だここ……何が起こってるんだ……?」
そろりそろりと近づいて。
入口からこっそり中を覗き見る。
「うるさいぞお前ら!静かにしろよ!」
ルアードの怒鳴り声で静寂が広がった。
そこに居る大人達がみんな跪いている。
これは何だ?
子供に跪く大人の姿……。
何で子供に?
何でルアードに?
これは……見てはいけない物……?
異様な雰囲気に呑み込まれ、身動きできずに立ち尽くす。
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