友達と楽しむパーティー

【挑戦者サラ】

屋敷全体がパーティー会場となっている為、学校の友達が集まっている部屋で簡単な挨拶をした。

そこは普通の会場であり、子供とその親達が料理やゲームを楽しんでいる。



「またルアードの勝ちか!」



「へへ、惜しかったね。じゃあこれ飲み干して。」



ずいっと差し出されたのはビアジョッキに入ったジュース。

軽い罰ゲームだが、三度めともなれば結構キツい。

何とか飲み干し、力なくジョッキを置く。



「くそ~……あと一歩だったのに……」



「もう一回やる?」



ニッと笑うルアードに、ぶんぶん首を振るニック。



「もう無理!お前には勝てない!てゆーかトイレ!」



口を押さえ、ダッシュで部屋を飛び出して行った。



「あはは、じゃあこのゲームはお終いだね。次は何を」



「待って!私が挑戦するわ!」



名乗りを上げたのはサラだった。



「うわ、強敵の出現だ、」



ははっと苦笑するルアード。

実はこの少女、ちょっと苦手な相手だった。



「挑戦受けるでしょ?まさか逃げるなんて事ないわよね?」



「受けるよ。挑まれたら受けるのが礼儀だからね。」



それ以前に断れなかった。

これも苦手な相手だからなのか……。



「負けたら罰ゲームがあるんでしょ?」



「うん。僕が勝ったらこれ飲んでもらうよ。」



再びビアジョッキ登場。

それを見たサラがため息をつく。



「そんなの罰にもならないじゃない。美味しいし楽々飲めちゃうわよ。」



「そう?でもゲームなんだから罰ゲームも楽しくないと。」



「甘いわね。人間、時には厳しさも必要なんだから。」



10歳にしてこの発言。

他の同級生とは違い、少し大人びた思考を持っている。

自分とどこか似ている彼女が、興味深くもあり、反面、すべてを見透かされそうで怖くもある。


彼女と必要以上に親しくなれば、正体がばれてしまう可能性があり──だから距離を取っている。


キンダーガーテンで彼女と知り合って数年。

下手な事を言えない為、今ではなるべく逆らわず従うようにしている。


それが苦手意識となってしまった。



「というわけで、私が勝ったら私の言うことを聞いてもらうわ。」



「え、あ、うん、」



思わず承諾してしまったが、何を要求されるのか少し不安だった。


だが、負ける気はしない。

いや、勝つ自信がある。


これまで負けた事のないゲームなのだから。

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