シヴァの悲恋物語

二人を取り巻く環境

【恋するサティー】

ブラフマーの息子、ダクシャ。

聖仙りしであるダクシャには、美しい娘がいた。


名をサティーと言う。


彼女には想い人がいた。

蒼い肌の凛々しい男性──。


彼に恋い焦がれ、彼だけを想い、彼と一緒になる事だけを考えていた。


それは難しい事では無かった。



『婿選びの儀式』


近々行われるその儀式は、適齢期に達したサティーの結婚相手を選ぶものであった。



決定権は自分にある。

自分が気に入った男性を選べば良い。


愛しい彼のその首に──花輪をかければ結婚できる。



「私は貴方を選びます……。」



彼を想い、つぶやく。


障害は何も無い。

儀式さえ済めば彼の傍へと行ける。


恋する乙女サティー。


父親の思いも知らず、幸せそうな微笑みを浮かべ、儀式の日を心待ちにしていた。

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