第4話
コツン…コツン…
暗い廊下の中に静かに靴の音が響く。
俺はタキシードで、その豪華に装飾の施された廊下を歩く。
廊下に広がる窓からは月の光が差し込む。
俺の名前は最上隆一。
世界的超有名IT企業、ラングレー社の社長であり、俺の御主人様であるアズリア・ラングレー様のボディーガード。
俺が大体4歳程の年齢の時、俺はラングレー家の当時の当主であるお父様に拾われた。
雨の中、ビルとビルの間に座り、死を待つだけの俺を助けてくれたのだ。
俺の一族は殺し屋の一族で、俺の母親が目の前で殺されたのも天明だと思った。
殺し屋というのは殺されるかもしれないから命を掛けた仕事なのだ。
そして、そんな死ぬはずだった殺し屋を救ったのが今は亡きお父様だった。
お父様の遺言。そして命令の下、俺はこうして、今日もアズリアお嬢様のために働いている。
命を賭けて。
さてと…お嬢様を狙おうとする不届き者が今日もやってきたようだな…
長い廊下の奥の奥。
そこには、大きな銃を腰に吊るした強面の大男が居た。
被害を最小限に抑えるため、夜の警備はあえてガバガバになっているのがラングレー家である。
「まさか、こんな簡単に侵入できるとは思っても居なかったが…やはり簡単にはいかなそうだな。」
大男は呟くと、俺の頭よりも大きな拳銃を取り出すと、俺へとその拳銃を向けた。
「死ね」
そして、大男はその拳銃の引き金を引いた。
弾丸が、廊下の中を一直線に掛ける。
そして、俺は弾丸が俺に到達するまでのその一瞬の間に拳銃を取り出して、弾丸を放つ。
弾丸は、大男の放った弾丸と真正面でぶつかり、1つの塊に変化する。
「んあ?」
そして、大男はもう一度、俺に向かって弾丸を放つ。
俺の片手に握られた黄金に装飾されたサプレッサー付きの拳銃が煙を上げて、再び、大男の放った弾丸に正面からぶつかる。
まるで車と車がフルスピードで正面衝突したかのように、弾丸は弾丸同士が当たって、1つの物質のように、地面に落ちる。
「は?」
大男は何発も、その弾丸を撃つが、結果は同じ。俺に当たることもなく、壁に弾痕が残るわけでもなく、ただ鉄の塊が床に転がるだけ。
「ど、どうなってやがる…!!!!!」
そして、大男は、廊下を走りながら、大きなナイフを抜くと、俺に向かって振りかぶる。
俺は動くこともなく、そのナイフを親指と人差指で止める。
ピクリとも動かないそのナイフ。
大男の頭に血管が浮かび上がった。
「ぬ、ぬああああああああ!!!!!!!!!!!」
と、男は叫ぶと、もう1本腰から小型のナイフを抜き取り、そして、俺の喉元へと空気を切り裂きながら滑らせる。
俺は、大男の手首に親指を刺す。
「ぐあ!?」
そして、大男はその手から小型のナイフを落とすと、ついでに親指と人差指で止めていたナイフを折って、男のそのナイフをもっていた方の手首に人差し指で筋を潰し、ナイフを奪い、廊下の窓を開けて、そいつの頭を出し、口の中に折れたナイフの先を突っ込む。
月夜に晒される大柄の男の頭。
「少しでも喋ってみろ。騒音を鳴らしお嬢様の睡眠をじゃまするようならば、その舌を切る。それでも騒いだら次は喉。生きたければ騒ぐな。」
俺は言うと、頭に拳銃の銃口を添えた。
「はは…兄ちゃん、拳銃の銃口を頭につけたらロックが掛かるぜ…?」
「馬鹿か…引き金を引くわけ無いだろ。」
俺はそのまま、拳銃を押し付けて、脳を揺らし、気絶させる。
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