究極の異世界テンプレ「標準語」を考える

あいお明

第1話[完]

※カクヨム始めて数か月の素人が書いています。


内容に間違いがあれば、優しく指摘してやってください m(_ _)m

――――――――――――――――――――



 “異世界テンプレ”への批判は、たとえば


「ここ関東者かんとうもんしかおれへんの?」


という一文から始めるべきだ。



 それが出来ないなら、


「テンプレ批判などやめておけ……」


と、筆者は考えている。



 どういうことか? 順を追って説明しよう。



 まず、上の関西弁(?)をざっくり標準語に訳すと、


「ここには関東地方の人しかいないの?」


という感じだ。



 つまり、筆者の考えは


「異世界テンプレを批判したいなら、『なんでみんな標準語でしか書かないの?』という話から始めよう」


というわけだ。

 では、そもそも異世界テンプレとは何か? まずそれを振り返っておこう。



 ◇


 “異世界テンプレ”とは何か?

 一言でいえば、ここ「カクヨム」や「小説家にな◯う」(以下:「な○う」)等のWebウェブサイトで人気がある(とされている)、物語の展開のことである。


 といっても、その中身を特定するのは難しい。

 何せ、これらの小説投稿サイトは数も多いし、投稿者も多い。プロからアマチュアまで、実に多くの人々が集まっている。

 なかでも“日本最大”といわれる「な◯う」では、20年間で約100万作もの物語がつむがれている。


 当然、それだけの時間と作品があれば、人気作の中身もバラバラだ。


 実際、「な◯う」では約3年前に、人気作の傾向が“ジャンルごとごっそり変わった”という話もある。


「こう書けば人気になれる!」


なんて決めつけは、危なっかしくて見てられない。


 だがしかし、人間は理屈ではない。気持ちで動く生き物である。

 そして、人間は知らない物事に法則を見出みいだして、安心したがる生き物でもある。

 その結果、次のようなストーリー展開が、“異世界テンプレ”として世間に流布るふしている。


―――――

①何らかの理由で、虐げられている主人公

②彼(または彼女)が、特殊な能力に目覚める

③目覚めた能力を使う(というより、能力に使われる)形で、一気に世界最強へと成り上がる

④本人の意思に関わらず、多くを手に入れる


※少なくとも近年の「な○う」内での傾向とは異なります

―――――


 そして、このような“少々乱暴な理解”を前提にして、


「長文タイトルでネタバレすな。読む気せる」

「話が雑」

「そのエロいる???」

「ぶっ飛んだ●ソ」

「またな○うかよ……」

「もっと本格的なファンタジーを……」


などといった“テンプレ批判”が、なされているようだ。



 まあ、“当たらずとも遠からず”なのだろうが、不毛な議論である。

 なぜなら、ほぼすべての「な○う」の人気作に共通する、“究極の異世界テンプレ”が、そこでは見落とされているからだ。


 そして、“究極の異世界テンプレ”こそが、テンプレ批判の不毛さをも証明してくれるのだ。



 ◇


 では、“究極の異世界テンプレ”とは、何か?


 それは婚約破棄ではない。

 追放ざまぁでも、悪役令嬢でも、異世界転生でもない。



 日本語(標準語)である。



 当たり前の話であろう。「カクヨム」も「な○う」も、日本のWebサイトだ。そして日本のサイトは、標準語で運営されるのが基本である。

 実際、「な○う」も標準語で運営されている。


 そこにわざわざ、英語や中国語、タガログ語といった外国語の小説を、誰が書いて、誰が読むというのか?

 あるいは、大阪弁や津軽つがる弁、薩摩さつま弁といった方言の小説を、誰が書いて、誰が読むというのか?


※少数ながらおられます。ご不快でしたらすみません m(_ _)m

※カタカナ語は標準語とみなします。嫌なら「Statusすていたす, openおぅぷん!」みたいに書けば?


 つまり、標準語という“究極の異世界テンプレ”には、使われ続ける合理的な理由があると言える。


 

 ◇


 最初にも書いた通り、もしも“異世界テンプレ”を批判するなら、まずは


「なんで標準語ばっかりなの?」

「方言小説を書け!」

「英語のなろう小説を読ませろ!!」


などと主張するのが筋だろう。


 だがそうはならかった。なぜか? 理由は大きく2つある……と、筆者は考えている。



①標準語を使うのが当たり前で、「標準語を否定する」という発想が出てこないから


②批判者が標準語しか使えないから



 いずれにせよ、標準語という“異世界テンプレ”への批判は、批判者も損する(かもしれない)諸刃もろはつるぎと言える。

 だから誰もやらないのだろう。筆者もしたくない。



 ところで、世の中のあらゆる現象には、必ず“起こる理由”があるという。


「読者が読みやすいように、標準語で書く」


みたいに。



 同様に、“異世界テンプレ”が流行ったのにも、理由はある。多様な要素が絡み合った結果、「標準語で書く理由」ほどハッキリしない、というだけだ。


 そこを無視して、


「異世界テンプレなんかダメだ!」


なんて言ってみたところで、何の意味もない。

 何より、そんな話で盛り上がっている姿は、前向きとは言えない。

 幸せそうにも見えない。ほどほどにすべきではなかろうか?



 ◇


 などと偉そうなことを言ったが、筆者は創作素人である。な○うについても、知らないことばかりだ。


「一体誰が、異世界テンプレを批判しているのか?」


とかね。



 筆者は関西人である。といっても、端のほうだ。

 たとえば大阪から、地元へ来た人に、


「地の果てまで来た……」


などと言われるくらいには。ひどい。



※もっと奥、ナンボでもありますよ……?



 そんな筆者の地元では、そもそも“小説投稿サイト”自体が知られていない。

 異世界テンプレが話題になるところを、見たことがないくらいだ。


 当たり前だが、な◯うやカクヨムを知らずに“異世界テンプレを批判する”のは無理がある。

 まして、前半で紹介したような「説得力ある批判」をするなんて、異世界テンプレ作品をかなり詳しく読み込まないとできないだろう。


「(筆者の100倍)詳しいですね。どこで勉強されたんですか?」


と、聞きたくなるくらいには。


 ……「な○う」としか返ってこないか。



 だから謎なのだ。誰が異世界テンプレを批判しているのか?


 お高く止まった、都会のお坊っちゃま/お嬢様なのか? ストレス溜めまくったエリートなのか?

 あるいは、そのどちらも関係ない人たちなのか?



 分からない。筆者にはさっぱり分からない。筆者ではないし、筆者の周りにもいないから。



 ……いや、よそう。根拠のない邪推なんて、疲れるだけだ。



 ◇


 おっといけない、随分話がれてしまった。

 だらだらと書いてきたが、要は


「“異世界テンプレ”への批判って、そこまで意味あるの?」


という話である。



「多分ない。気にせず好きに書いたほうがいい」


というのが、筆者の結論だ。



※各サイトの規約は守りましょう。



 だからといって、異世界テンプレを律儀りちぎに守るべき作家はいない。

……とも、筆者は考えている。異世界テンプレは取扱説明書トリセツではないからだ。


「ここ、こうしたほうが面白くね?」

「いや、私はこっちをこうしたほうが……」


という違いを楽しめるのが、異世界テンプレのだい醐味ごみである。


 ……いや待て。むしろ“異世界テンプレ”とは、「自分ならこう書く」の積み重ねではないか?

 まあとにかく、遠くから文句を言うより、混ざっちゃったほうが楽しそうだ、と思う。



 余談だが、筆者は方言や外国語を使った“多言語異世界テンプレ”を読んでみたい。

 生成AIには当分書けないでしょうから。色んな意味で。




 頑張れ! Web作家――――――――――




――――――――――――――――――――

 お読みいただき、ありがとうございます。

 私なんかが創作論(?)ぶち上げるなんて……まさかまさか。


 感想、反論エッセイ等お待ちしております……が、お手柔らかにお願いします m(_ _)m



【追記】

・応援・フォロー等ありがとうございます!

(2025/07/07)


・一部加筆/修正しました

(2025/10/16)


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