第23話
「……なんで桃子に許可とらなきゃいけないんだよ」
りっくんは突き放すようにとても冷たくそう言った。
「許可とかじゃなくて……」
違うよりっくん。
りっくんがやりたいことがあるなら私は応援するよ。
そうじゃなくて……
「……空が帰ってくるんだからいいだろ」
「そういうことじゃないでしょう!?」
殆ど叫んでりっくんにつかみかかった私に、りっくんは冷たい溜息を吐いた。
そうじゃない。そうじゃなくて……
リっくんは今、私が偶然聞かなかったら、黙って遠くに行ってしまうつもりだったの?
りっくんにとって私は、そんなどうでもいい存在だった?
子供を言い聞かせるみたいにりっくんの両腕を掴んで、けれど私よりいつの間にか随分と背が高いりっくんと視線を合わせる為には私は見上げるしかなくて。
意に反して、私はまるでりっくんに縋りついているみたいだ……
いつの間に、りっくんはこんなに背が高くなったの?
子供の頃は目線は変わらなかったのに。
今じゃもう、りっくんが私に合わせてくれないと、視線が合うことすらないんだ……
いつの間に、りっくんとの距離はこんなにも離れてしまっていたのだろう……
りっくんは私を強引に引き離すと、知らない男の人の様な、冷たい視線で私を見た。
意地悪なりっくんの、本当に冷たい視線を私は見たことなんて一度だって無い。
「……桃子、うざい」
そうして一言、彼はそう言って、私に背を向ける。
「……りっくんのバカ!!」
私は耐えきれなくなって、子供の頃の喧嘩の様な言葉を叫んで走りだした。
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