第24話

走って、走って、そうして廊下の曲がり角を曲がってから立ち止まる。

耳を澄ましても、私を追う足音は聞こえない。


私は廊下の隅で一人しゃがみこんだ。


こんな子供の頃交わしたような言葉に、りっくんはもうムキになんてなってくれないんだ。



『桃子の方がバカだろ!』


『バカって言った方がバカなんだよ!』


『じゃあ先に言った桃子がバカだ!』


『りっくんのバカ!』


『おい待て! 逃げる気か桃子!!』



走って逃げだしてもりっくんは追いかけてきて、足の速いりっくんに私はすぐ捕まって、また喧嘩をした。


そうちゃんに止められるまで言い合いをした。


そして寝て起きればいつだって元通り。




同じ病院で二日違いで産まれた私とりっくん。


お隣さんで学校も一緒で、いつも一緒にいた私とりっくん。

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