第21話

「お前のお蔭で鼻が高いよ!」


「いや。別に先生の為じゃないし……」



けれど予想に反して先生は上機嫌で、りっくんだけが相変わらず気まずそうな顔をしている。



「おお。相田は川野と幼馴染だったっけ? お前もこんなできる幼馴染がいると自慢だろう」


「ちょ……先生……」


「まさかうちの学校からT大合格者が出るなんてなぁ」



突然私に向けられた先生の言葉に、私は首を傾げた。



「……T大?」



何を言ってるの?

T大って県外の学校だよ。

そうちゃんが住んでる所より倍くらい遠いよ。


りっくんは地元の大学を受験したんだよ?



「なんだ。相田知らなかったのか?」


「あー。先生、さっき学年主任が探してたけど、いいの?」


「おお。そうか」



こんな時間だ、次の授業が始まる前に職員室で自慢しなきゃとか言いながら、りっくんの担任の先生は上機嫌に去っていった。

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