友情

学校はすごく楽しいのに、心にあいた小さな穴が埋まらない。理由はわかっている。小学校からの親友たちと離れ離れになってしまったからだ。みんな高校がバラバラで、部活や塾で忙しい。だから気づけば繋がりが希薄になってしまっていた。前にみんなで集まったのは1年ほど前。高校生になる前の春休みだ。


「どうしたん。元気なさそうやん。」


そう声をかけてきたのは高校で仲良くなった友達。なんだか最近、クラスの男子といい感じになって可愛くなった気がする。恋の力ってすごいな。


「いや、地元の友達と全然会えてないなーと思ってナイーブになってた。普段は平気やのに、疲れてんのかな。」


「あーね。実行委員もやってくれてるから疲れてるんやろ。私にできることあったら手伝うし言ってな。」


「ありがとう。まじ女神。」


なんてできた友達なのだろう。高校でもこんなに優しい友達に巡り会えて私は恵まれている。


「あっ。そういえばさ、中学の友達、文化祭に呼べば?うちの学校、2日目の一般公開は土曜日やん?それやったら来れるんと違う?」


「確かに!ナイスアイデアすぎる!」


「私が実行委員頑張った演劇見にきて欲しい!って言って誘っちゃいな!演劇やし、クラスの発表終わったらそのまま一緒に文化祭回ってき!」


「そうする!あっ、でも、一緒に回る約束してたよな?自分どうするん?」


そう言うと友達は少し顔を赤らめながら答えた。


「実はさ、そのー、気になってる人から文化祭一緒に回らんかって誘われたんよな…。けど、先約あるからって断ってん。」


「あー、そういうことな!いいやん、やっぱ行けるって誘ってき!」


「うん!そうする!でも、1日目は一緒に回ろな!」


「もちろん!カチューシャお揃いにしよ!」


「うん!」


そう言って友達は例の彼のところへと走っていった。友達を見送った私は、地元の親友たちとのグループトークにメッセージを送った。


“来週の土曜日、うちの学校の文化祭来ん?私、実行委員やってて、クラスで演劇するねん!”


みんな休み時間だったのだろうか。すぐに既読がついて次々に返信が来た。


“行きたい!ちょうど部活ない日!”


“実行委員やってんの!そんなん見に行くに決まってる!”


“私も行ける!みんなに会えるの久しぶりやし楽しみやわー”


みんな来てくれるらしい。心にあいていた穴が少し塞がっていくような気がした。私はより一層文化祭準備に力が入った。

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