そこわかれ-6
「ご迷惑をおかけしました」
「いえ。お気になさらず。こちらこそうちのが勝手に敷地内に入ってしまいすみません」
刻人がそう言った途端に那智が噛みつく。
「ちょっとうちのってなに?!人を犬か猫みたいに言わないでよ」
「どちらかというと山猫か」
「ああん?」
二人の様子を見て女性はくすくすと笑った。
「仲がよろしいんですね。助手さんでしょうか?」
「助手ではないです」
刻人がそう言って首を振る。
チッと舌打ちして那智は刻人の手に組みついた。
「伴侶です、って言ったら信じるう?」
「ちょっとお前近い」
他人に距離を詰められることが苦手な刻人が必死に手を振りほどこうとするが那智は離す気がない。
ここまでコケにされたからには、ちょっとぐらいからかって振り回さないと気が済まない。
女性はそんな二人の様子をポカンと見ていたがふふっ、と笑って言った。
「連れ合い、ですね」
「そっ。まあ恋人って意味じゃないよ」
「恋人であってたまるか」
まだもがいてる刻人の手を握りしめる。
刻人はぴたりと動きを止めるとじっと女性を見た。
「じゃあ離しちゃだめですよ。この家の管理は私がします。もう帰っていただいて大丈夫です」
そう言って女性が屋敷の入り口に立って二人を手招きした。
二人が門を越えるのを見送って女性は言った。
「ありがとうございました。では足元お気を付けてお帰りください」
その口元は、笑っていた。
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