『続 アブドラジル』 6
『あなたは、よけいなことに気を配る必要はありません。』
『なら、あいつを連れ帰れるか? それができるなら、そうしよう。』
『あら、あの子は、捨てたんでしょう?』
『きみには、感謝しているよ。しかし、きみは、人情が分からないのかい?』
『社長さん。いまさら、なにを? ここまで来たのだから、もう、行くしかない。彼を連れ戻すことはできません。しかし、あなたは、間も無く、地球を支配することができます。そのほうが近道です。金星の世界樹も、それを望んでいますし、我々も、応援しているのです。』
『ふん。我々、とは、具体的に、誰なんだ? 世界樹とは、誰なんだ?』
『我々は、我々です。世界樹は、世界樹ですわ。』
『さっぱりわからないよ。』
『ほほほほ。いいですか、あなたは、正しい道を歩んでいます。なにも心配ありませんよ。誰もあなたを遮れない。さあ、会議の時間です。』
『ああ、わかったよ。先に行って準備してくれ。また、後で話し合おう。』
『はい。では、ちゃんと来てね😉』
秘書さんは、部屋を出た。
社長さんは、メールをチェックした。
荒川博士からのデータを、個人のスマホに移して、会議に向かったのである。
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