『続 アブドラジル』 4
すると、当の本人から、直通電話がかかったのである。
『あのな、あんたは、社長直通に、緊急以外は掛けてくるな。ちゃんと受付を通せ。』
のっけから、社長は言ったのである。
しかし、荒川博士だって、荒川工業、荒川製作所、荒川科学技術研究所などの、社長さんである。従業員は、キューさん他、僅かしかいないが。
『ほう? 緊急ではないとな? 息子が心配で悩んでるだろうと思い、助けてやろうと考えたのだがな。じゃ、さよなら。』
『あ、まてまてまて。なんで、あんたが知ってる?』
『マー・シー・ヤンくんは、私の学生だったことを忘れたか? しかも、大切な実験装置の協力者でもある。わたしは、金星には未知の生命体がいることを掴んでいた。金星と地球が最接近するときに、古来、必ず、幾人もの地球人が不可思議な失踪を遂げるのだ。それらの人々を調査してみると、みな、異常な金星好きという、共通点があった。きみの息子もそうだ。金星には、火星や水星とは比較にならないほどの非常に科学的に有意な異常な愛着があった。いつか、金星生物に狙われるとふんだ。だから、金星が接近するときには、貴重な観測装置だから、必ず持っておくように頼んで、預けていたのだ。あの特殊観測装置。名付けて『金星の友』。をな。だから、彼の動向も、行き先も、みなわかっているのだ。』
『オカルト荒川らしい、はちゃめちゃな理論にもならん理論だ。だから、君は、わが社の障害になると踏んだ。まさにその通りだな。』
『なら、息子は、見殺しか。まあ、そうだろうな。飼い殺しにしたんだしな。じゃ、連れ戻さなくていいんだな。では、さらばだ。』
『あ、まてまて。まったく、やなやつだな。そうは言ってないよ。あいつは、何処にいる?』
『まだ、わからんか。だから、金星だと言ってるだろ。』
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