1-3
「神様が見ている世界は、物凄く多種多様に存在しているのですよ。だから、私のような種族が繁栄している世界もあれば、カレンさんの故郷のような環境もあるのです」
「はー、なるほど」
沢山のパラレルワールドがあって、沢山の世界がある。それぞれに繁栄している種族があって、私みたいなサルの進化系もいれば、他の生物が進化した人類も居るということなのだろう。それはわからなくもないけど……
どういう進化をすると、タントスさんみたいなゆるキャラになるんだ?
謎だ。そして、私もそっちの方がいいなぁ。
ゆっくりと歩くタントスさんの、少し後ろについて歩く。
私は今、今回の仕事の現場へと向かいながら、タントスさんの説明を受けていた。
「今回の仕事先は、カレンさんに似ているタイプの種族の世界みたいですね。まあ、見た目だけで文化も言葉も何もかも違いますので、自分の常識や知識が通用するとは思わない方がよいです」
タントスさんは、スマホのような端末を手に説明を続ける。何でも仕事用の連絡端末で、私も見習い期間が終われば持たされるそうだ。
「わかりました。ところで、仕事は何をするのでしょうか?」
そう、まだ肝心な事を聞けていない。
「今回は、とある職人の手伝いのようです」
職人?
眠りこける靴職人の代わりに靴を作れ、とでも言われるのだろうか。
私が作るくらいなら、職人を叩き起こす役を担おう。その方がきっと早い。
「具体的に、何の手伝いを?」
「わからないのですよ。仕事によっては詳細な指示が出される場合もあるのですが、今回は殆どないので、現地に行ってから判断する必要がありそうです」
「そう、ですか……」
うーん。何とも漠然としている。
「まあ、今回は簡単な仕事だと思いますです。何せ、能力の制約がかなり緩いです」
私の表情を不安と捉えたのか、タントスさんがフォローを入れてくれる。
というか、聞きなれない単語キタ。チートかな?
「能力の制約?」
「我々は神様の使いになりますので、神様から色々な力を貸していただける場合があるのです。仕事によっては何の力も借りられない場合もありますが、文明を滅ぼすくらいの力を借りて仕事をしたというワーカーも知っていますです」
文明を!? チート過ぎると嫌悪されない?
随分と物騒な話だと一瞬思うが、考えてみると確かに神様っぽいかも。ソドムとゴモラ的なお仕事とかね。
……やりたくない仕事だなぁ。
「制約が緩いってことは、今回もそんな感じなのですか?」
「いえ、今回はそこまでではないです。逆に制約として、現地の人間との関りを禁じられていますです。その為か、飛行能力。ワーカー同士の密談。壁抜けができる物質透過。そんな感じの能力が使えますです」
想像もしていなかった能力に、咄嗟に反応してしまう。
「飛行! 飛べるんだ」
「飛べます。必要に応じて、あなたにも能力を付与しますです」
凄い、私飛行機もまだ乗ったことないのに。
おおおおお! ヤバイ、ちょっとテンション上がってきた。
「では、そろそろ到着しますです。気を引き締めて参りましょうです」
「はい!」
気が付けば、目の前に扉がひとつあった。
タントスさんがその扉を開けるのを見ながら、頑張ろうと決意を新たにする。
この先には、どんな世界があるのだろうか。
期待と恐怖が1対9くらいの割合で胸がいっぱいになる。
……いや、初めての場所って恐怖の方が強いでしょ? 前情報無いに等しいし。
果たして、私は生きて生き返れるのだろうか?
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