第2話 吉野 天音 一
「
いやいやいや、
四季さんに目で訴えたが、何も理解してなさそうな顔をしている。ハハ……なんでもないですよー…。
ていうか僕、どうしてこの男の子が依頼人だって分かったんだろう…。四季さんに聞きたいことばかりだけど、今は一緒に仕事をすると言ってしまったし、仕事に集中しよう。
「は?なんで
高校生が怪しいヤツを見るような目をしながら
でも…こいつ……、
「うーん…、君が依頼人だから?かな」
「依頼人?俺は静かそうな所を探していて、たまたまこの店を見つけただけだ。こんな店員がいるなら、もう…」
男子高校生が帰ると言いかけた瞬間。
「思い出したい記憶があるんじゃない?」
店内にいた他のお客さん二名は、こちらのことは気にもせず
そして僕らはと言うと、少しの
…気まずいよ……。四季さん…僕も四季さんが何を言ってるのかよく分からないです。
沈黙の中、四季さんが続ける。
「あるでしょ?思いだしたい記憶」
四季さんが
「
時間が流れていく。長い沈黙の後、男子高校生が険しい目つきをしながらも、口を開く。
「……本当か?でも
それは僕も思った。仕事って言ってたし、依頼人からお金をいただくのは分かっていた。しかし、男子高校生に
「あはは…、ごめんね〜。無料でも本当はいいんだけど、私としてもお金はあった方がいいと思ってるから〜」
「…まぁいい、払うよ。ただ…今すぐは無理だ。
「うん、できるよ。それに高校生の時間は大切だからね。大人になってから払ってくれればいいよ」
高校生が少しほっとしている。
「ありがとう。名前を教えろって言ってたよな…。俺は
「そう、吉野 天音くん。……いい名だ。私は
…あぁ、四季さんは誰の名前でも褒めるんだ。別に僕だけじゃなかった。まぁそりゃそうだよな…。
「それで、俺はどうしたらいい?何をしたら…思いだせる?とても…大切なはずなんだ。なのに、ずっと思いだせなくて……」
天音くんは、今にも泣きそうな顔をしてる──が、突然、決意に満ちた目で。
「
「四季さん…」
僕自身も何をするのか分からなくて、四季さんの方を見る。
「天音くん、君は何もしなくていいよ。ただ…目を閉じて、私と
──っ!?額!?四季さんと天音くんが、そんな
「…は?……いや、分かった」
同意したのを見て、四季さんが微笑んでいる。
「
四季さんが
───幸せだ。
「あっ…、その前に場所を移さなきゃ。二人共、こっちの部屋に入って?」
手は握りあったまま、僕は四季さんに着いていく。
天音くんも一緒に部屋に入る。入ってみると、
「よし、じゃあ始めよう」
四季さんには聞く間もなく、二人が額を合わせた瞬間。僕たちは
──あぁ、それで和室…。
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