第6話

伝えてって言われてもなぁ。


••どうしよう。勝手に部屋に入っていいの?



あたしだったら寝てるのに部屋に入ってこられるの嫌だ。



でも、奏弥様から言われちゃったし。




数分考えた挙句、仕方ない。と心を決め部屋まで進み音を立てずにそーっと扉を開ける。



何もない部屋の端っこにひとつだけ布団が敷いてあり、その布団が少し膨れているのに気付いて忍足で近付く。



布団の横に立ち、その場で座り込み寝ている哉希を見下ろす。




無防備な寝顔をいつまでも眺めていたい気もするけど、それじゃきっと奏弥に怒られる。




よし!と心を鬼にして哉希の体に手を伸ばし、とりあえず最初は優しく叩く。



「哉希、起きて。」



「••••ん、••。」



••••待ってやばい。ん、だって。

なにそれ、可愛すぎるんだけど。


ギャップ萌えってやつ?


頬が緩むのが自分でわかる。


だってこんなの、いつもと違いすぎてなんか、なんかあれじゃん!!




慌てて緩む頬に力を入れ、もう一度声をかけようと手を伸ばす、と。



「っわ、」




その手を絡め取られ、布団の中に引き摺り込まれた。

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