二話  霊媒師の男の子

プレゼンの授業の日、わたしはしっかりと自分の仕事を全うし、授業でも発表に向けての準備をした。

さらに次の授業で、いよいよプレゼンをする時間となった。

その日の昼休み、あの人がいることを祈って図書室へと向かった。

部屋に入った時、カウンターに座っていたのは違う人で、少しがっかりしたが、返却の手続きを行なって借りていた本を元の場所に戻そうとした時、その場所に彼がいた。

目が合った時に少しびっくりしてしまったけど、向こうから声をかけてくれた。

「プレゼンちゃんとできた?

ああいうの、緊張するよね〜。」

多分授業の内容を知っているってことは、同じ学年なのだろう。

「う、うん。うまくできたよ…。

あの!この前生徒証貸してくれてありがとう。おかげでちゃんとできたよ。

でね、よかったらなんだけどお返しがしたくて…。

何かわたしにできる事ないかな?」

焦る気持ちを抑えきれなかった。

言い終えてから名前とか聞くのを忘れていたことに気がついた。

「う〜ん、そうだなぁ。

あっ、とりあえず名前だけ聞いていい?

向こうから聞いてくれたことに少しの喜びを感じながら、

「えーっと…わたしは、月下香織です。えと…」

「あー僕は、九十九碇。

霊媒師の家系なんだ。

お返し嬉しいんだけど、急に言われても思いつかなくて…。

もしよかったら、今日の放課後一緒に帰らない?」

「うん!」

突然の告白で驚いた。

でも、とりあえず彼にお返しがしたかったから、思わず返事してしまった。

「わかったじゃあ放課後校門前に集合な!」

彼がそう言うのと同時に、チャイムが鳴った。

「じゃあ、また放課後。」

そういって、図書室を後にした。

その日の午後の授業は、いつもより少しぼーっとしていた感じがする。

ホームルームも終わり放課後、校門前で一人待っていると、碇くんが現れた。

「あっ、九十九さん…」

「いた、いた!香織さん帰ろ!」

少し周りをキョロキョロしていた碇くんに声をかけた瞬間、わたしに重ねるように声を出した。

知らなかったのだけれど、家の方向が一緒だった。

好きな本の話とか、霊媒師の家系がどんなものかとか、いろんな話をした。

今度お返しに、霊媒師としての修行に付き合ってほしいって言われた。

次の土曜日にわたしの家でやろうと言う話になっだ。男の子を部屋にあげるのって初めてだから緊張する。

帰り道わたしの家に着いて、

「ここがわたしの家。

土曜日に、呼び鈴鳴らしてくれたらいいよ。

じゃあ、またね。」

と家の前で別れた。

彼の家はもう少し先にあるらしい。

「ただいまー、ってうゎ!」

玄関に置いてある鏡を見て何故か驚く事がある。

小学生くらいからかな?

何が合ったのか思い出せないんだけど、多分なんかのトラウマ的なやつかな…?

とりあえず週末、部屋に人をあげるということを意識しすぎて、帰ってから、母に声をかけられるまで、ずっと部屋の掃除をしていた。

そして夜、寝る前に碇くんに勧められた本を読んでから寝た。

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