第10話 七曜の襲名の儀
そうするうちに、郷の人達も風呂から上がり、皆それぞれ分かれ宴の準備に取り掛かった。宴の広場の中心には、太い木を格子に組み上げ、大きな「
ただふと、弥は少し違和感を覚えた……いくら自分らの帰還を祝い、他郡の者がいて持て成そうとしても、なんだろう、いつもと違う賑やかさ……!規模がデカ過ぎる‼)隠密の動きで、塩婆に近づいた。
「なんね、あんた気色断ちで近寄るて?婆ぁも驚いたぞ」
(お褒めの言葉ありがとよ、てか、これから何が始まる⁉)
「いくら何でも大袈裟過ぎやしないか⁉」
「心配するな……童ども」
「今宵は、弥と雪乃の「七曜の襲名の儀」を執り行う!」
「……へ……ンなの……聞いてねぇぞ~~~」
「ぁ……お前にはいぃ忘れとったな。ほれ、さっさとこの由緒ある袍に着替えて来い。雪乃はもう行って済ましておるじゃろう」
(ぁあの婆あ……)
「なんなんだ一体これは~~⁉」
社務所に一目散で向かった……息ぜいぜいで目の前の女性から、水を一口もらった、ハッとすると、目の前に天女がいた。
「ぁ……やっと来た……ぅふ」
弥は、その場で立ち
……っと、弥は、我に返り(……って、惚れ惚れしてる時ではない!……、でもあの雪乃はもう可愛かったなあぁ……、あ”~着替えて着替えて!)
弥は、塩婆から預かった「衣」を確認する、喜び勇んで転げる、着替えた衣は、有栖家に代々伝わる、
しかし、仕来たりに
「月曜の七曜の襲名の儀」が始まった……
「
その神々しさに、皆は魅入って声が出ない……
(ぁあ、雪乃ちゃん、綺麗……)(雪乃姉……
(雪乃……お前さんのまわりには良いやつ多いの)
御神舞が仕舞、雪乃は塩之祇神社・
すると塩婆が、
「月の光を
「
火曜の七曜の有栖家は代々「焔舞」を奉納の舞いとする。
ところがだ、なんか分らんが、俺は「焔舞」を踊ったことがない
だが弥は覚えいる。十年前に父さんが「火曜」を襲名した時の、舞の仕草・手順・作法を……
弥は、瞳を閉じた……オレはこの郷がスキだ……郷のみんなが好きだ。ここを護りたい、そのためには御国に平穏を取り戻したい……
だから、俺は「火曜の七曜」になる。
「明鏡止水」の境地に至る。弥は、スッと眼を開いた……
「奉納焔舞」が始まった……弥は、妖刀「
この刀は「妖刀」だけ有り、あらゆる全ての術式を纏うことが出来る……
弥は、「陽炎」を左手の指先に乗せ「焔」を顕現させた……陽炎が焔を纏う。
煌々と、焔揺らめく刀を、すうっと振るい、舞いだした。上下左右に刀を振るい、くるりくるりと、舞うように剣技を放つ。すると弥の母は、
「……ねぇあなた……」
「あぁ……十年前の僕を見ているようだ……」
「ふふ、儂が生きてるうちに孫の襲名の儀が見られるとはの……婆さんや……」
「長生きはするものですね……」
弥の奉納焔舞が終わった、そして雪乃と同じように、神社の幣殿に上がり座った。
奥から、塩之祇神社の宮司と、御付の者が?、……二人掛かりで「
「『
「畏れ多くも、この天太刀を、賜り奉る。神威を仰ぎ、此の天太刀を振るわん」
こうして二人の「七曜襲名の儀」が終わった。さて宴が始まる
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