第6話 真の皇の「覚醒」
弥達は、月虹殿を後にして、三日ほど経ち、船に乗るために、
(……なるほどね、これがばあさんの言ってた危惧か、見事的中!へへ予想より規模がデカいが、まぁ良いか)
相手の敵将は、九八代聖皇の
「
しかし、この戦には裏がある。
月虹殿で、嫡流の雪乃が「月曜の七曜」の「天扇・蒼月華」に「是認の主」と、認められたことを知った
「
これが切っ掛けである。
「
「はぁ⁉盗んだ?さて、お前みたいに偉そうなオッサンじじいに問うよ、情報の出どころは誰だよ……ダメ仁か……?関奏のじじいかぁ?それとも、一番脳みそ腐ってそうな賢正郡の群将か……?」
左近衛大将は背筋が凍った、(この男は一極集中で掛からないと……)
「朝廷と賢正の連合軍、全軍進め‼‼」
「へ‼上等だ‼‼打ち負かしてやんよ‼‼」
二千の兵が、死を覚悟した気迫を持ち弥達を囲い持ち攻めてくる。戦況は徐々に悪くなる、いくら四人が七曜で、霊獣を使役しても天具を持たぬ七曜は、多勢に無勢……
是認の主の雪乃は、もっているが、時間の問題であろう……
敵の術師
「木霊よ、木霊、彼の者の脚を
「な、しまった!」
弥の両足を木の根が縛りあげる
「兄さま‼‼いまお助けします‼‼」
その刹那、マサトの両足にも、木の根が絡みつく‼‼(ぐっく、ぅ、ワタクシの力では剝がせない……)
マサトの眼前から、弓矢が流星のように飛んできた……(……駄目だっ!終わった……)
マサトの目の前に、小迦華が両手を広げ立つ。時がゆっくり動いている錯覚に陥る……。無数の矢が、小迦華の身体を射抜く……(……や、やめろ……)
躰に刺さった矢を、小迦華が自ら引き抜く……血潮が吹く……
「ぅ”ぅ”ぐふ、ぇ、ぅ”ぅ”ぐ」
小迦華が
「今だから、伝えますね……私は、貴方様と、泉でお逢いした時より、貴方様に恋をし……愛ずり……慈しんでおりました……どうか……どうぞ……生き……永らえてください……そして無慈悲なこの世を救ってくださいまし……」
小迦華はニコリと、微笑み、マサトに口付けを交わした……
眼前には、左近衛大将が立っていた。
「死ね」
マサトは、己が両の掌を見つめ、涙が溢れた、……どうしようもない「怒り」……「悲しみ」と……哀しみ…………
(ナゼ ワタクシハ マモレナイ ナンデ コンナニ ヨワイ ナゼ イトシキ ヒトヲ ウバワレル ワタクシニ チカラガ アレバ ミナヲ マモレルノニ…………)
「本当の『力』があればぁあああ‼‼‼‼」
その刹那、マサトは、……
「……ここは……?」
「やっと来たか……真仁よ……長かったの……~」
目の前には……飄飄とした翁が立っていた…………
「……え、貴方は誰ですか?」
「?…………おぉこの姿では、分からぬよのう……姿を昔に戻すぞい」
すると、目の前には、「ワタクシ」がいた。……いや瓜二つの少年がいた……
そして、その少年の両の目には……双聖眼が輝いていた……マサトは、この御方が誰であるか瞬時に気づき平伏する。
「初代・聖皇‼‼」
「よい、面を上げよ」
「お前さんは、朕に聞きたきことある故、来たのだろう、申してみよ」
「畏れながら、ワタクシの様な、小さな者なれど、初代に畏み申し奉る!どうかワタクシに、弱いワタクシに、愛する者、慈しむ者を救う力を賜りたく……」
「ふふ、固い言い回しじゃの、ふふ時仁の子じゃの、ははは」
「心配せんでよいぞ。この虚空に招かれた時より、おぬしの望む力は手にしておる
……お前の愛しき者、慈しむ者のところへ戻っておやり……我が孫よ…………ふふ」
「……ぇ、孫って……」
虚空の間から真仁が消えた……
初代の傍らから、一人の男が現れた。その両の瞳には聖眼が輝く。
「これで良かったか、我が息子「時仁」よ?
「はい、父上、いま出来ること、私のすべてを与えることが出来ました『天笏』も。
もう、あの子は、大丈夫でしょう」
「……あとのことは、父に任せよ……もう行って良いぞ……」
「ありがとうございます、父上……やっと、やっと澪子を迎えに行けます……」
「…………息災でな……時仁……」
「
刹那の時が、動く……真仁の両腕に小迦華が抱かれていた……傷一つない綺麗な身体だ……
……そして、真仁は両の瞳を見開く……両の瞳に「聖眼」が顕現した……
戦場にいる全員が、聖眼の威に、足がすくんで動けない……
弥「マサト……?」
雪乃は「…………マ、サト……?」
小迦華の身体を、そばに静かに寝かせる……
真仁の右手には、「日曜の天具」『
が携えられていた……
「…………
「聖皇・真仁ぞ……」
真仁は,両の掌を広げ、瞳を輝かせて六つの[呪術法円]を結んだ、
最後に頭上に巨大な[呪術法円]を結び
「
『……七曜乱舞……』
唱えた刹那、七つの竜巻が荒れ狂い、
ある者は、躰の中から焔を吐き出し絶命し……
ある者は、身体中が氷結し、粉々に砕け散り……
ある者は、巨大な岩に体躯を
ある者は、木の根に頸から躰を全て
ある者は、身体中を赫く熱せられた鉄の杭で刺し抜かれた……
二千もいた敵兵は全て
残るは、つまらない策を考え、己の保身だけを考えてる、「この生き物」だけだ……
「…………ど、どぅか、ぉ”ぉ”だすけ、きゅだ、ざぃ……」
「……
「あ、あれは
「そうか……難儀であったな……だが朕の聞き及ばぬことじゃ……」
真仁が「
「死ね」
左近衛大将の身体中を焔を纏った無数の槍が、ぐしゃぐしゃに貫いた。男は絶命した……
そして、力尽きた様に、マサトが瞳を閉じ、ぱたりと、倒れた……
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