13. アーサー女王、試練を超えて。

 ついに――


 アーサーとマーリンの避妊・去勢手術の予約が取れた!


 まずはアーサー。

 一週間後にマーリン。


 やっとこの発情大混乱の日々から解放される……!

 いや、倒立ごはんの日々ともおさらばだよね!?


 と思うと、ホッとした反面、不安でいっぱい。


 手術って、本当に怖い。

 ネットで検索すると出てくるのは――


「麻酔から目覚めなかった猫の話」

「術後に傷口が化膿して、再手術になった話」


 怖い怖い怖い……!

 やっぱり手術なんて、怖いんだよぉぉぉ……!!


 ■ 手術当日、病院へ


 当日は、仕事を休んで、同居人と一緒にアーサーを病院へ連れて行った。


 アーサーは女の子なので、手術は男の先生が担当。

 でも――今まで一度も会ったことがない。


 女医さんの安心感知っちゃうと、未知の男医さんってなんかドキドキするよね……。


 この日は朝、手術予定のペットたちが次々に集まっていた。


 スタッフさんからの説明によると:

 まず採血・検査→問題なければ手術→麻酔から目覚めたら連絡が来て、お迎えに行く流れ


 ただ待つしかない。

 でも、この「待つ」が地獄なのだ。


 ■ 帰宅途中に同居人が……?


 とりあえず病院を出て、

「近くでちょっと何か食べようか」と話していたのに――


 駅に向かう途中、同居人が突然しゃがみこんだ。


「えっ!? 大丈夫!? え、倒れた!?」

 いきなり過ぎて、焦る私。


 本人いわく、

「ちょっと……目まいしただけ……」


 どうやら心配しすぎて、軽くダウンしたらしい。


 そうして、食事はキャンセル。

 そのまま帰宅。


 そして同居人――そのまま爆睡。


「な、何か食べる……?」

 カップヌードルしか出せない私。


 だって、いつも料理は同居人の担当なのに! 私が輝くのはカップヌードルアートだけだよ……!


 ■ 手術成功!女王帰還!


 午後になり、病院から電話が鳴った。

「アーサーちゃん、麻酔から目覚めましたよ〜」


 \\\イェーイ!!!///


 私:「すぐ迎えに行きます!!!」


 ダッシュでお迎え。

 王を迎えに行く下僕のスピードである。


 帰宅すると――

 マーリンが猛ダッシュでアーサーに飛びついた。


 おい、

 いきなり乗るな!!!


 お前、賢者ならちょっと落ち着け! アーサー女王、術後1日は安静だぞ!


 仕方なく、アーサーをケージに入れて安静に。

 一方、同居人はまだ布団の中で死んだように寝ている。


 看病すべきなのはアーサーよりこっちなのでは……?

 でも私の目はつい、アーサーの方に向かってしまう。


 そしてその夜、私はリビングで寝ることに。


 床、固い。

 夜中に何度も起きて、アーサーを確認。


(過保護すぎる? ううん、愛ゆえだよ……)


 ■ 翌朝:蘇る女王


 そして翌朝――


 アーサー、完全復活。


 高い場所へぴょん!

 おもちゃにバシバシ!

 キャットタワーをスパーン!!


 おいおい、

 術後1日でそれは早すぎるでしょ!?

 さすが女王……生命力がバグってる。


 こうして、アーサーの手術大作戦は――

 無事、終了。


 まあ、同居人の復活はまだ時間かかりそうだけどね……。


 ……次回、マーリンの番だ。

 静かな哲学者の去勢手術編――開幕。

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