第8話

更衣室でウェアに着替えながら、美紀は私に率直な疑問を投げかける。


「里佳子さぁ、何でそんなに練習出たくないの?」


「だってさっ、テニスなんて運動音痴の私には無理っぽくない?」


「そんなことないよ、コツさえつかめばなんとかなるって!」


「それにしても、やってることが玉拾いに素振りにランニングだよ、テニスしてないじゃん」


「それはそうだけど、最初はどこもそんなもんでしょ。しょうがないよ」


「まあね」


この会話、誰が聞いても私の愚痴だね。


そんな会話をしていたら


「こらっ、そこの2人、しゃべってないで早くコートの準備手伝いなさい」


先輩に怒られてしまった。


「はぁ~い、すぐにやります」


慌てて更衣室から飛び出し、コートを目掛けて走り出した。


黙々と玉拾いを続ける私達。


それにしても、美紀は嬉しそう。


まあ、こんなに近くで大好きな中谷先輩のことを見ていられるわけだからね。


ある意味羨ましい。

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