第7話

そして次の日。


教室に一歩踏み込んだ瞬間、いや、まだ足が床についてないな。


私を見つけた美紀がやって来て


「どうして昨日帰っちゃったの?裏切り者」


おはようも言わずにこれだ。


「ごめん、あんまり体調良くなかったからさっ」


そう言ったものの、嘘だけにおどおどした表情になっていないか心配になる。


「ホントに?今日は大丈夫なの?」


そんな私の心配も、美紀には全くお構いなし。


多分、嘘がばれているからかな?


トホホ。


思わず言葉を詰まらせる。


「うっ、うん、大丈夫だよ」


あまり気が進まないけれど、そう答えるしかなかった。


「じゃ、今日は一緒に行こうね!」


「うん」


あぁ~、今の返事で逃げ道がなくなってしまった。


朝からこんな約束をさせられて、一日気が重いよ。



そして、憂鬱な放課後がやってきた。


「里佳子、今日は逃がさないよ。一緒に行くよ!」


朝から覚悟はできていたから、重い腰もなんとか上がる。


「はいはい、行きますよぉ」

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