第5話

それもそのはず、美紀が出来もしないテニス部に、この私までも巻き込んで入ったのは、2つ上の先輩、中谷 裕(ゆう)がお目当てなのだから。


彼女は今日も中谷先輩を見ていたいがために、玉拾いに、素振りにと励む。


ご苦労様。


一応部活に行くつもりで、でも行きたくないから、の~んびりと準備をしている間に、教室に残っている生徒は数人になっていた。


あいつももう教室にはいなかった。



窓際の手すりに寄りかかり、ぼんやりと校庭を眺める。


もう部活も始まっていて、野球部やらサッカー部やら、みんなそれぞれの練習を始めている。


この場所からはテニス部の練習は見られない。


テニスコートは校舎の裏にあるから。


廊下に出れば見られるけれど、そんな必要はない。

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