炊飯器の落ちている世界で

2140年、大阪は人工知能によって完璧なシミュレーション世界として再現されていた。しかし、そこはなぜか炊飯器が路上に落ちていたり、100年前の期限切れうどん券が普通に使えたりする、めちゃくちゃ雑な世界だった。

元漫才師の女・ミコは、借金に追われて脳内記憶を売って生きている。ある日、全記憶を売ったことで世界の真実を知り、自分が「人類再生の鍵」としてAIに監視されていることに気づく。

AIは完璧な世界を目指しているが、その完璧さゆえに人間性を見失っていた。ミコは元相方で、今はAI管理者となったソウスケと出会い、彼に不完全で雑な人間の価値を教えていく。

完璧を目指して失敗ばかりするAIと、完璧なんてまったく興味のない借金まみれの元漫才師。炊飯器ロボットや焼きそば屋のオヤジ、期限切れ券に困惑す…続きを読む