「ハル…」

いまにも消え入りそうな声で


「アイシテル…」


そう囁いて

唇を塞いだ


キミの唇はいつだってやわらかくてやさしかったのに

何度も交わしたいつまでも長くて終わらないキスのつづきは

熱っぽく潤んで



「ハル

 抱いて…いい?」



遠くで新聞配達の音が過ぎて

猫の鳴き声が聞こえた

繰り返し繰り返し誰かを呼ぶように


何も言わなくていいよ


キミの傷だらけの心が泣いているから


目を開けて不安そうなキミの瞳に

小さく頷いた


~~~~~~


春の蒼いひかりの中で

ぼくらは交差した


いつまでもこのままでいたいと

もう明日のことも先のことも

どうでもいいと思った


孤独だった


ハルの身体は細くて小さくて


壊さないように消えてしまわないようにそっと抱きしめながら

強く自分を抱きしめていた


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