に
ハルを初めて見たのは
母親の画廊に行ったときだった
向かいの美大の予備校から友達と笑いながら出てきたハルに一瞬で目を奪われたんだ
なんてきれいな子だろう って
あの日ハルに出会わなければ、ぼくはきっとふさぎ込んだまま立ち上がれずにいた
買ったばかりのバイクで事故を起こして、一瞬でぼくの選手生命は絶たれた
スポーツ推薦で入学した高校で最初の夏のインターハイ直前の出来事だった
あんなに熱心に、いつだって傍で応援してくれていたかつて同じ競技で活躍をして体育の教師になった父は、まるで自分の夢を絶たれたかのようだった
日常生活に支障がないくらいには事故の怪我から回復したものの、陸上競技をやるために進学した私立の強豪校にぼくの居場所もいる意味ももうなかった
学校へ行かなくなって中学の頃の友達と遅くまで遊び歩くようになっても
父親も母親も何も言わなかった
そんな夏のある日
制服姿で絵の道具を大事にそうに抱えて友達と笑っていたキミを見つけたんだ
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