案の定

ママが玄関の前に立って私の帰りを待っていた


「お・か・え・り」


ママはニタニタしながら急いで二階に上がろうとする私を横目で見ている


「え、なに?だからその…今日も課題が 」


「はいはい!大変ね、今年はいよいよ受験生だもんねぇ

良いから早く着替えて手を洗ってきなさい?テーブルのおかずハルの分だからね

ママ、この後今度の発表会のプログラムを作ってしまいたいから~」


ママは子供の頃から所属していたバレエ団の先生に頼まれて教室の講師をやるようになった


パパと結婚してからずっと専業主婦だったから、家事と教室のやりくりでとても忙しそう

最近ちょっと頑張り過ぎのような気もする



もう大分前に夕飯を終えたみたいで、パパは妹とリビングのソファーでスマホでゲームをしていた


「ハル~、

ママも忙しいひとなんだからさ、少しは家のこと手伝ってとは言わないでおいてあげるけど受験生だから?

でももう少し早く帰ってきて家で課題の続きをやるとかさぁ…」


最後の方はなんて言ってるか妹のけたけた笑う声にかき消されていくのを都合よく


「はーーーーーーいっ!!」


部屋の扉を後ろ足で思いっきり閉めて

そのままベッドに大の字になってバタン! 倒れこむ



はぁ。少しこのまま寝ておこう

アラームを0時半にかけて… 



それにしても、

ママ、なんか感づいてるのかな

今日はめずらしく玄関の外で帰りを待ってたし

バレたかな、とっくにバレてるかな

でもいくら秘密は無し!のパパにもまだ何も言わないでくれてるよね?ママ




睡魔に引きずられながら


『…部屋で 待ってて』


さっきのキレイなキミの横顔が瞼の裏側に浮かぶ




さっきバイバイしたばっかりなのに


早く 会いたい!!!


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