第一話
夜も更けてきたころ__
「早く来いよ!電車、間に合わなくなるぞ!」
少年が急かす。
「うわっ、やべ!」
その声に現状を知らされたもう一人の少年が車内に駆け込む。
改札をくぐるまでが勝負だというのに少年はまだ走っていた。
「セーフ、セーフだ。」
「アウト。走んな。」
ガラガラの車内に二人のみの話し声が聞こえる。
この時間は相も変わらず誰もいない。
対して長い前髪、首元まである長い後ろ髪。時折見える目は少し鋭いが、瞳は優しさを帯びていた。
しかし、本人からにじみ出る根暗オーラで話しかける気すら消されるそうだ。
ちなみにさっきの勝負なのだが風斗がコッソリ裏道を使い、駅へと素早く出たのだ。
二人は電車に揺られながらボーとしていた。まぁ、風斗は参考書を読んでるけれど。
駅に着き、自転車に乗り、風斗は家に即帰宅。後ろから連も付いてくる。
連の親は事故で亡くなり、この家に住んでもらうことになった。風斗も連も風斗の父の圧力で剣道をやっている。
それぞれ風呂に入り、着替える。連は課題を取り出して何問か解いたが、飽きたのかすぐしまった。電気を消して、布団にもぐる。
「おやすみ~」
連はあくびをしながら。
風斗は、
「……。」
話す気どころか挨拶を返す気すら無いようだ。
このまま寝て、おはよう!となればいいのだが、
その夜、二人は夢を見た。
正確には夢ではないのかもしれない。
けれども、明日の朝から二人は「運命」の流れに引き寄せられていく___
ツクレ!コワセ! でしべる @decibel
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