第19話 熱

side:勝村

熱いけど、寒い。

からだの中と外で体感温度の差がひどい。

だるいな。


…これが風邪か。


私はインフルなどの流行り風邪にかかったことはあるが、普通の風邪はない。今回が初だ。


まあ、風邪なら人に移る心配はないだろうといつも通り学校に来た。


思ったよりしんどくて、机に伏せる。


だれかきやがった。いや、来た。そこにマイナスの感情を抱く必要はないか。私に用があるわけない。

よって起きる必要がない。


しばらくして、誰かが私の机の前にしゃがむ。


仕方なく起き上がる。

視界が白くて見えないが、その人を見る。


「大丈夫?」


と聞かれた。

うなずく。


額になにかがあてられる。


冷たくて気持ちいい。

軽くつかんで首に持っていく。

気持ちいい。


いきなり、首に別の冷たいものが当たる。撫でるように動く、くすぐったくて気持ちいい。そのまま身を任せる。


「勝村、保健室、行く?」


保健室は苦手だ。

なんとなくだけど。

さっきよりはましになった。平倉さんの顔も見える。

ちゃんと大丈夫に見えるように、口角をあげて伝える。


「…まだ、頑張れる。」


本当に大丈夫かよと言うように、ジト目で見てくる。 大丈夫だって。


重いが伝わったのか、平倉さんはしぶしぶ、立ち上がりながら


「起こしちゃってごめんね。もうちょっと寝ときな。 ダメそうならすぐ言うんだよ。 じゃあ。」


うなずいて伏せる。だいぶ体調がいい気がしてきた。もう少しだけ寝る。

平倉さんの香りが、冷房の風に乗って、後ろから流れてくる。

心地良い。抱き枕があればもっと良いのに。

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