第17話 空気

talked by: 平倉

「へ? 何を…!?」


「何を…!? じゃあないんだよ。勝村に手錠つけて置き去りにしたの、美姫じゃないの?」


「あぁ~、そうだよ?」


芦田愛菜だよ?みたいな感じで認めるじゃん。毒気抜かれかけちゃうじゃん。


「なんで、なんでそんなことしたの?」


「うーん、わたしもよくわっかんないんだよね。」


と首をかしげながら言う美姫。


「はぁ!? わっかんないんだよね。じゃないんだよ! もう‥」


私の小言を聞き流して、

美姫は申し訳なさそうに、正座に座り直し、もとから正座している勝村の方を向いて、頭を下げる。


「勝村…ごめんなさい。」


勝村はボケーっとしてる。


「・・・。」


「勝村?」


「あ…ごめん、話聞いてなかった。」


「…はぁ!?」


ふたり声を合わせて言う。


「被害者だよ!?」


「わたし素直に謝れたの初めてなんだよ!?」


いつも通りの顔で、


「…だって、どうでも良いなって思ったから。」


っていうから、笑ってしまいそうになりながら、怒ってるポーズを維持して言う。


「どうでも良いって‥ あんたねぇ 普通ここは怒っても良いところだよ?」


「…重い空気は嫌だし、明日も普通に過ごせたら良いかな‥って。」


そっか、確かにそうだ。そういう人だ。自己犠牲を自己犠牲とも思わない人だ。


「もう‥ 仕方ないなぁ。」


何が仕方ないんだ?と言う顔で見てくる勝村。

へへ~って効果音がつきそうな顔してる美姫。

私は、間の抜けた顔をしてることだろう。


笑おう。

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