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「これあげる」

「ああ、ありがとう」


お弁当を食べ終わる頃。

おやつに持ってきたお菓子を私は関君に差し出した。


それを受け取るなり、関君はお菓子をまじまじと色々な方向から見ている。

眼鏡の淵に軽く手をかけて、検分しているみたいだ。


「これは何か、怪しい成分が入っていたりはしないよな?」

「しません。これ市販の物だからね。見たことあるでしょ?というか、食べたことあるでしょう?!」


パッケージが開封されていないんだから、危ない成分が入っていたりするわけないじゃない。

有名なお菓子なんだから見たことあるはずなんだけど。


「悪いな。言ってみただけだ」

「関君ったら、もう!」


関君は悪びれずに、真面目腐った顔をしていた。

だから私は不本意さを伝えるために、ほっぺたをわざと膨らませて怒ったことを主張する。

すると、関君が小さく口角を崩した。


「大丈夫だ。さすがにこれは、本気で疑ったわけじゃない。冗談だ」



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