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「俺は自分の目で見たことを信じたい。君と廊下でぶつかった時、俺に見えた文字は『精神をすり減らせて鬱にさせる呪い』というものだった。こんな不穏な響きのおまじないが無害だろうか?俺にはそうは思えない」
『呪い』じゃなくて、多分『お呪い』だと思うけど、確かにあっちの物騒な本なら他人を鬱にさせるおまじないが載っていそう。
ぶつかった時にたまたま開けてたのが、そんな後ろ暗い内容じゃなかったら。
関君だって私の言うこと信じてくれたかもしれないのにー!
お姉ちゃん。あの本、全然実用的じゃないよ!
あの本のせいで私余計な面倒ごとに巻き込ませているんだけど。
心の中でお姉ちゃんへの文句と悲鳴を上げていると、関君は眼鏡を上げた。
そして、そのまま自分の持ってきた弁当箱に手を伸ばしていた。
「まあ、とりあえず昼を取ろう。もうずいぶん話し込んでしまったからな」
関君が視線を動かして、壁にかかった時計を指し示す。
つられて私も時間を確認すると、もうお昼休みの半分が過ぎていた。
「わ、大変!早く食べなくちゃ」
私も慌ててお弁当を開けると、関君がチラッと私の手元を見ていた。
「どうしたの?」
「いや。君のお弁当は意外と普通だと思っただけだ。もっとカエルの手やトカゲの素揚げのようなものが入っていることを想像していた」
「そ、そんなの食べないよ!私は普通の女子なんだってば」
確かに魔女というイメージだけで言うなら、怪しげな大鍋に物騒なものを投げ込んでグツグツ煮ているのが想像できちゃうけど。
でも、私は一般女子!カエルなんて食べません!
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