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「で、一体君は俺をこんな場所に連れて来て何がしたいんだ?……まさか、口封じか?!」
「口封じなんてしないから!ただ、話を聞いてって私言ってるじゃない」
教室に戻ればみんなに背中を押されて、関君と共に教室を放り出された私。
しょうがないから、二人きりで話をさせてほしいと言ってついて来てもらったのだ。
関君は怪訝そうな顔をして、お弁当を持ってついて来てくれた。
この機会を利用して、私は関君が抱いている大いなる誤解を解きたいと思うの。
「旧校舎の多目的教室は使われなくなって久しいと聞いているが、なぜ鍵を持っているんだ?まさか、その鍵も魔術で得たものなんじゃ……?!」
「ちっがーう!これはさっちゃんが先生と交渉して貸してもらってる鍵です。魔術なんて使えないんだよ、私」
「ふむ。君が魔術を使用したのではないのなら、それでいい」
関君は硬い表情のまま頷くと、近くになった椅子を手繰り寄せてそこに腰かけた。
前かがみになりながら、私のことを下から窺い見る。
「それで?何の話がしたいんだ?」
やっと関君が私の話を聞いくれる姿勢を見せてくれて、私は大きく安堵の息を吐いた。
だって、昨日の放課後からずっと一方的で、私の話を聞いてくれる気配なかったんだもん。
「誤解を解きたいの」
私は手近な椅子を移動させて、関君と距離をとって向かい合う。
やっと誤解が解ける、とはやる気持ちを抑えつつ。
私は事の始まりであるお姉ちゃんの話から昨日までの流れを懇切丁寧に説明し始めた。
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