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「それ旧校舎にある多目的教室の鍵。この前ウチ、先生に掃除押し付けられちゃって。簡単に床掃いて、埃は落としてあるから」
さっちゃんが微笑みながら私にウインクする。
「ウチが教室綺麗にしたら、昼食べるときに使っていいって先生から言質とったんだ」
「そもそもほとんど物が置いてない部屋だったから、簡単な掃除だけで綺麗になったんだよ」
「夏に屋上とか日差しがきついじゃん?だから食べる場所、室内に引っ越そうかって話してたところだったんだよね」
呆けてまだ事態が完全に呑み込めていない私を尻目に、三人がどんどん話を先に進めていく。
「でも、栞に春がきたでしょ?だからその鍵渡して、二人の仲を深めてもらおうって思って」
「わたしらまだ屋上でも大丈夫だし。夏は暑いから、そっちで食べたいけど。それまでだったら全然いいから」
「今まだ五月だから、あと一、二か月は占領してていいからね」
楽しそうなみんなの様子。
どんどんと私の頭の中で整理されていく情報。
「……って!えー?!もしかして、その多目的教室で私と関君の二人だけで、お昼食べてきてって言ってるの?!」
しかも、本格的に暑くなってくるまでの期間までずっと!
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