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「栞、付き合いたては最初が肝心なんだよ?」

「そうだよ、そうだよ!最初はラブラブしときなって」

「うちらとまたお昼食べるのは、ちょっとイチャイチャし疲れたくらいの時期からでいいからさ」


彼女達と比べて背の低い私にわざわざ合わせるように、みんな身を屈めて私の瞳を真剣に覗き込む。

その真剣さが、ここまで真面目に私のこと想ってくれてるんだって思えて。


私は訂正の言葉を飲み込んでしまった。


まあ、関君と付き合い始めたわけじゃないから、勘違いなんだけども……。


「栞にすごく大事な物託すからソレ使いな。本当はさ、これから暑くなるからと思って手に入れてたんだけど、他に有効活用できるならそれが一番いいだろうし」

「栞、まだ関君とそんなに深く分かり合えてないんでしょ?ずっと一緒にいたわたし達、関君と栞が話してるのなんて今まで見たことなかったし」

「二人きりで時間を過ごせば、仲も深まるよ。なんなら栞からチューしちゃっても大丈夫だし」


微妙に話の流れが分からなくて、私は首を傾げる。


大事な物?


二人きり?って、ていうか、チュー?!


どういうことなの?


「コレ貸したげる。ウチが先生から預かってるってことになってるから、絶対に無くさないでね」

「さっちゃんが、先生と交渉してソレ預かっててもいいって許可もらったんだって」

「多目的教室に近づく奴とかほぼゼロだから、絶対に二人きりになれるよ。ま、ちょっと教室から遠いけどさ」


さっちゃんと呼んでいる友達の一人が、そっと私の手の中に硬いものを握らせる。

ゆっくり手を開けば、私の手の中にあったのは小さな鍵。


「鍵?」



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