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「にしても、この本重いなぁ」
放課後の教室。
皆は部活に行ったり、帰ったり。
私は一人、先生の手伝いを命じられていたからその仕事をやっていたらすっかり日が傾いていた。
さっさと帰りたいのは帰りたいんだけど、ちょっと疲れちゃって。
誰一人いない教室の自分の席に座って、お姉ちゃんから貰った黒い方の本を開く。
中身が子供向けってことが分かった今、この本に触るのは怖くない。
どのページを開いても、うさぎさんのイラストがいるんだもん。
しかもピンクのハートのステッキ持ってるし。
中身は恋のおまじない集。
平和的で簡単なおまじないばかり。
怖がる必要なんてどこにもない。
「何か、面白いおまじないないかなー?どれがいいかな?」
こっちの本は子供向けだから安心して、試すことができるもんね。
おまじないなんてどうせ叶わないんだから、お遊びって割り切って楽しめる方がいいよね。
あ、ここに『好きな人と結ばれるおまじない』が書いてある。
友達とワイワイ楽しみながらおまじないをやっていた小学生の頃の感覚を思いだして、自然を頬が緩む。
『好きな子と席が近くなれるおまじない』や、『かけっこで足は速くなるおまじない』。
小学生のときにやった記憶が蘇ってきた。
なんだかすごく懐かしい。
そんな懐かしい気持ちに引っ張られて、小学生の頃の思い出も思い起こされる。
幼馴染で当時好きだったカイトくん、今どうしているんだろう?
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