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「それもあるんだけど、人とぶつかっちゃって……」


急いでみんなのところへ行かないと、と廊下を小走りで移動していた屋上に来る途中。

そこで、私はクラスの関君と廊下で正面衝突してしまったのだ。


「え、平気だったの?けがは?」

「ケガとかはないよ。ただ本を落としちゃって……。本の中身見えたみたいで、すごく恥ずかしかったよ」


お弁当はしっかり持ってたから平気だったんだけど、その時にこの二冊を床に散乱させちゃって。

黒い本の方は私が拾ったんだけど、中身が物騒な方を関君が拾い上げてくれたのだ。


落ちた拍子にページが開いちゃってて。

関君がそれを見て一瞬動きを止めてたから、顔から火が出るくらい恥ずかしかった。


「本当、こんな本持ってこなきゃ良かったよ。絶対に、こんな本持ってて変な子って思われた」

「あー……、まあ元気出せ」


私、こんな危ないお呪いかけたりしないんだよ?

「この子怖っ」って思われてたらどうしよう……。

しかも関君ってクラスメイトだし。

白い目で見られたら嫌だなぁ。


「ウチのメロンパン一口あげるから元気だしなよ」

「なら、わたし卵焼きあげるー」

「え、うちあげられる物ないんだけど。あ、チョコレートの包み紙いる?中身食べちゃったからないけど」


「ありがとう、みんな」


顔を見回してみんなで笑い合って、他愛ない話題でさらに笑って。餌づけで元気づけられて。

私のお昼はそうやって過ぎていったのだ。



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