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カラフルに印刷された丸っこい文字で『恋のおまじない、初級編』という見出しが入っている。
ページの隅っこには可愛いうさぎちゃんのイラスト入りだ。
「そんな子供っぽいの、許せないわ!」
「確かに、中身だけだと子供向けみたいだね……。あっ!もしかして、こっちの本も子供向けっぽいからいらないの?」
私はもう一冊の本を指さしながらお姉ちゃんに尋ねた。
もう一冊の方は、表紙がキラキラしていて見るからに対象年齢が低そう。
ハートや星マーク満載のデザイン。
こっちは中も外も子供向けなのかな?
「そっちは中身はいいんだけどねぇ」
「へ?」
残念そうにしたお姉ちゃん。
不思議に思いながらも、私は数ページ本を捲ってみることにした。
「な、な、なにコレ!こっちは中身がえげつないんだけど!」
「相手を不幸にするお呪いに、正体不明の腹痛をプレゼントするお呪い……。こっちの方が実用的ではあるんだけどね」
「実用的ってなに?!それに『おまじない』って漢字で書くと『お呪い』になるの?!怖いよ」
開くページ、開くページ物騒なお呪いばかりだ。
実用的って、お姉ちゃん。このお呪いで何をするつもりだったの?!
「外と中、どっちも揃って良質なものじゃないなら要らないわ。この前買った本棚にふさわしくないもの。ああ、ホンット大外れよ。ネットなんかで買うんじゃなかったわ。どっちも結構高かったっていうのにー!」
文句を言いながら、自室へ戻っていくお姉ちゃん。
残されたのは、茫然とお姉ちゃんを見送る私。
手元にあるのは見た目だけ物騒な黒い本と中身が危険な本だけだ。
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