2、きっかけはおまじない

3

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「あんたにこれ二冊ともあげるわ。大外れよ、全く」

「え、お姉ちゃん。これ何?」


大学生である私のお姉ちゃんは、こだわりが強い。

お姉ちゃん独特のルールがあるらしくて、部屋の小物とか家具とかにも、ものすごいこだわりを発揮する。

欲しいものはどんなに高くても、それを買うためにずっとバイトして働いて稼いでくるほどなのだ。


「おまじないの本よ」

「ホ、ホントに?片方の本、おまじないって可愛い感じじゃなくて、結構おどろおどろしい見た目してるよ?」


私の前に投げ出された本を二つ見比べる。


片方は、『おまじないの本』というよりも『呪術本』と言われた方がしっくりきそうなおどろおどろしい装丁をしている。

持つだけで呪われちゃいそうなオーラを醸している本だった。


「そっちは、見た目は合格なんだけど中身が全然ダメ」

「中身?」


辞書と言われても納得できそうなくらい分厚く、重そう。

表紙は古ぼけた革のようになっていた。

真っ黒なのに、所々微妙に赤黒くなっていて、まるで血がついているように見える。


本の中を読むために、私はそっと人差し指と親指だけを使って数ページ分つまみ上げて、えいやっとページを捲った。

そして見えた本の中の文字を目で追って、私は思わず感想が口から漏れだした。


「うわ。ギャップが酷いね……」


だって中に血の手跡がついていそうな外見のくせして、この本の中身は随分ファンシーなつくりになっていたんだもん。



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