2
.
昨日まで話すことすらしなかった私と関君。
なのに今日になってこんな状態になった関君を見て、彼女達は恋愛方面に結び付けて事態の辻褄を合わせたらしい。
実際、昨日彼からビックリな宣誓をされた。
だけど、別に私と関君は付き合いだしたというわけではない。
「俺が見ておかないと、危なくてしょうがないからな」
さも当然のようにした宣言は、どうも勘違いを助長させているようにしか私には聞こえないの。
「確かに、栞ちょっと抜けてるもんね。天然気味っていうかさ」
「ちっちゃいしね」
「俺が守らなきゃーって感じ?羨ましいわ、うちも誰か守ってよー」
ちっちゃい言うな!
ちょっと女子の平均身長よりも5cmくらい低いだけだもん。
「そうだな。俺が守らないといけないと思っている」
関君のその台詞で、友達はワーキャーと盛り上がりだした。
「そっかそっか、やっと栞にも春が来たんだね!」
「ずっと幼馴染の王子様しか目に入ってなかったのにね」
「うちも青春したいわー!どっかに落ちてないかなー?!」
きっと関君の守る対象は私じゃないんだよ?
発信する側と受け取る側で言葉の受け止め方が違うんだよ……?
と、私は言い出したくなったけれど。
それをして、関君にここでおかしな妄言を口にされる方が困るから私は口を噤んだ。
全ての始まりは昨日。
否、始まりのきっかけは、とある本のせいなのだ。
私はそのことに思いを馳せた。
.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます