ベヒモスの異様な変貌に、ユウトたちは息を呑んだ。その装甲は、まるで生きた肉のように脈打ち、黒いオーラを纏って、より凶暴な姿へと変貌していた。

「あれは、ただの機械ではない…何か、別の生命体が融合しているのか…？」

　アスカは、分析を試みるが、ベヒモスのデータは、完全に書き換えられており、解析不能だった。

「来るぞ！」

　義宣は、刀を構え、ユウトとアスカに指示を出す。

「覚悟しろ！」

　ベヒモスは、咆哮を上げ、ユウトたちに突進してきた。その巨体から放たれる衝撃波は、障壁を揺るがし、周囲の建物を粉々に砕いた。

「秀吉様！障壁が持ちません！」

　ユウトが叫ぶと、秀吉は、額に汗を浮かべながら、札を握りしめた。

「くっ…ここまでか…」

　その時、アスカが、シルフィードを操縦し、ベヒモスの背後へと回り込んだ。

「ユウト！義宣様！隙を作る！」

　アスカは、シルフィードのブースターを全開にし、ベヒモスの注意を引きつけた。ユウトと義宣は、その隙に、ベヒモスの側面へと回り込み、攻撃を仕掛けた。

「はあああ！」

　義宣の刀が、ベヒモスの装甲を切り裂く。しかし、その傷は、すぐに再生してしまう。

「無駄だ！再生能力を持っている！」

　ユウトは、アスカの言葉に焦りを感じながらも、攻撃の手を緩めなかった。その時、ベヒモスのコックピットから、再び声が響いた。

「無駄な抵抗だ…貴様らは、この私に勝てない…」

　その声は、先ほどよりも、さらに低く、そして、恐ろしいものへと変わっていた。

「この声…まさか…」

　アスカは、その声に聞き覚えがあった。それは、彼女が過去に出会った、ある人物の声だった。

「まさか、貴様が…！」

　アスカが叫ぶと、ベヒモスのコックピットが開き、中から、一人の女性が現れた。その女性は、黒いドレスを身に纏い、赤い瞳を光らせていた。

「久しぶりね、アスカ…」

　その女性は、アスカに向かって、微笑みかけた。しかし、その笑顔は、冷たく、そして、恐ろしいものだった。

「貴様…やはり、貴様だったのか…！」

　アスカは、怒りと憎しみの感情を露わにした。その女性は、アスカの宿敵であり、未来の世界を滅ぼそうとした張本人だった。

「さあ、決着をつけましょう…アスカ…」

　女性は、そう言うと、ベヒモスを操り、ユウトたちに攻撃を仕掛けた。

　その時、秀吉が、決意したように言った。

「わたくしも、ここで終わるわけにはいきません…」

　秀吉は、懐から、もう一枚の札を取り出した。それは、先ほどの札とは異なる、金色に輝く札だった。

「これは…？」

　ユウトが尋ねると、秀吉は、答えた。

「わたくしの、最後の切り札です…」

　秀吉は、札を空中に投げた。すると、札は、眩い光を放ち、ベヒモスの動きを止めた。

「今です！」

　秀吉の言葉に、ユウトたちは、それぞれの武器を手に、ベヒモスに最後の攻撃を仕掛けた。

　水戸の街を舞台に、過去、現在、未来の英雄たちが、異形のヴァンツァーに立ち向かう。

　時は流れ、日本は度重なる増税と地方の疲弊により、深刻な社会問題に直面していた。特に茨城県は、その影響を最も受け、街はスラム化し、人々の生活は困窮を極めていた。

「もう、こんな生活は耐えられねぇ！」

　茨城弁でそう叫んだのは、かつてヤンキーだった茨城弁の男「イバラキング」だった。彼は、仲間たちと共に、政府に対してクーデターを起こし、茨城を独立国家として宣言した。

「俺たちが、この国を変えてやるんだ！」

　イバラキングの言葉に、茨城の人々は熱狂し、彼を支持した。そして、イバラキングは、隣接する県へと侵攻を開始した。

「まずは、栃木からだっぺ！」

　イバラキングの軍勢は、最新鋭のヴァンツァー「ダッペロボ」を駆使し、瞬く間に栃木県を制圧した。

「次は、千葉だっぺ！」

　イバラキングの野望は、止まることを知らなかった。彼は、関東地方を制圧し、日本全土を支配しようと企んでいた。

　その時、ユウトたちは、ベヒモスとの戦いを終え、イバラキングの存在を知った。

「まさか、こんな事態になっているとは…」

　ユウトは、驚きを隠せなかった。

「我々も、このまま見過ごすわけにはいきません…」

　義宣は、刀を構え、決意を新たにした。

「未来を変えるために…」

　アスカは、シルフィードに乗り込み、ユウトたちと共に、イバラキングの軍勢へと立ち向かうことを決意した。

　過去、現在、未来の英雄たちが、新たな敵に立ち向かう。戦いは、まだ終わらない。