第3話 始末屋

 巨大なヴァンツァー「ベヒモス」は、その巨体からは想像もできないほどの速度で、ユウトたちに迫ってきた。その圧倒的な破壊力は、周囲の建物を粉々に砕き、まるで嵐が来たかのようだった。

「まずい…!」

 義宣は、刀を構え、ベヒモスの攻撃を受け止めようとした。しかし、その衝撃は、義宣の体を吹き飛ばすほどのものだった。

「義宣様!」

 ユウトは、義宣のもとへ駆け寄った。その時、アスカのシルフィードが、ベヒモスの背後から攻撃を仕掛けた。しかし、ベヒモスは、その攻撃をものともせず、シルフィードに向けて反撃した。

シルフィードは、辛うじて攻撃を回避したが、その衝撃で、機体が大きく揺れた。

「アスカ!」

 ユウトは、アスカの安否を気遣った。その時、ベヒモスのコックピットから、声が響いた。

「邪魔をするな、始末屋」

 その声は、女性のものだった。そして、その言葉に、アスカは、わずかに動揺した。

「始末屋…?」

 ユウトは、その言葉の意味を尋ねようとした。しかし、その時、ベヒモスが、再び攻撃を仕掛けてきた。

 ユウトたちは、それぞれの武器を手に、ベヒモスに立ち向かった。しかし、その圧倒的な力の前には、なすすべもなかった。

 その時、秀吉が、静かに言った。

「面白いことになってきましたなぁ…」

 そう言うと、秀吉は、懐から一枚の札を取り出した。それは、見慣れない模様が描かれた、不思議な札だった。

「これは…?」

 ユウトが尋ねると、秀吉は、にやりと笑った。

「わたくしの切り札です」


 秀吉は、札を空中に投げた。すると、札は、光を放ち、巨大な障壁を作り出した。

ベヒモスの攻撃は、障壁に阻まれ、ユウトたちに届かなかった。

「さすがは、豊臣殿…」


 義宣は、感嘆の声を漏らした。

「しかし、この障壁も、いつまで持つか…」

 秀吉は、険しい表情で言った。

その時、ベヒモスのコックピットから、再び声が響いた。

「さすがは、豊臣秀吉。しかし、お前の力も、ここまでだ」

 そう言うと、ベヒモスは、全身から黒いオーラを放ち始めた。そして、そのオーラは、障壁を侵食し始めた。

「まずい…!」

 ユウトは、焦りの色を隠せなかった。その時、アスカが、決意したように言った。

「私に、考えがあります」

 アスカは、シルフィードを操縦し、ベヒモスの背後へと回り込んだ。そして、シルフィードのコックピットから、何かを取り出した。

「あれは…?」

 ユウトが尋ねると、アスカは、答えた。

「これは、未来の技術で作られた、時空振動爆弾。これを使えば、ベヒモスの装甲を破壊できるはずです」

 アスカは、爆弾をベヒモスに向けて投げた。爆弾は、ベヒモスの装甲に吸い込まれ、内部で爆発した。

 ベヒモスは、激しい爆発に巻き込まれ、動きを止めた。

「やった…!」

 ユウトは、歓声を上げた。しかし、その時、ベヒモスのコックピットから、再び声が響いた。

「まだだ…」

 ベヒモスは、再び動き出した。しかし、その動きは、先ほどとは明らかに異なっていた。

「あれは…」

 ユウトは、愕然とした。ベヒモスの装甲が、変形していた。そして、その姿は、まるで、生き物のように、脈動していた。

「あれは、ただのヴァンツァーではない。あれは…」

 アスカは、言葉を失った。

 その時、ベヒモスが、ユウトたちに向けて、咆哮を上げた。それは、まるで、獣のような、恐ろしい咆哮だった。

「来るぞ…!」

 義宣は、刀を構え、ユウトとアスカに指示を出した。

「覚悟しろ!」

 水戸の街を舞台に、過去、現在、未来の英雄たちが、異形のヴァンツァーに立ち向かう。戦いは、新たな局面を迎えようとしていた。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る